はじめに
私は2009年に機械系専門商社へ新卒で入社し、国内営業、台湾駐在、大手重工メーカーへの出向などを経験してきました。
32歳で転職を考え始めてから、実際に会社を辞めて別の専門商社へ転職するまでに、約3年4か月かかりました。
転職を考え始めたきっかけや、初めて転職エージェントへ登録し、求人を比較するまでの経緯については、前回の記事で詳しく紹介しています。
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35歳専門商社マンの転職活動|転職を考えた理由から求人選びまで
最初から3年以上かけるつもりだったわけではありません。
むしろ、転職活動を始めた当初は、
「今の会社より条件の良い会社が見つかれば転職しよう」
くらいに考えていました。
しかし、実際に転職活動を始めてみると、
- 本当に今の会社を辞めたいのか。
- 自分は何の仕事をしたいのか。
- 年収をどこまで重視するのか。
- 今までの経験を活かすのか。
- 未経験の仕事へ挑戦するのか。
- 会社員を続けること自体が正解なのか。
と、次々に迷いが出てきました。
その間には、
- 社内での部署異動
- 労働組合執行委員長への就任
- コンサルティング業界への興味
- 転職活動の中断と再開
- ヘッドハンターとの面談
- 事業承継という会社員とは異なる選択肢を真剣に検討した時期
- 他の専門商社への応募
などがありました。
結果的に、遠回りとも思える3年以上の期間があったからこそ、
「自分は何のために転職するのか」
という軸を決めることができたと思っています。
転職活動というと、
転職サイトに登録する
↓
気になる求人を見つける
↓
応募する
↓
内定をもらう
↓
転職する
という一直線の流れを想像するかもしれません。
しかし、私の場合はそうではありませんでした。
この記事では、35歳で転職した私が転職活動に迷い、一度立ち止まり、また動き出しながら、最終的な「転職の軸」を決めるまでの過程を実体験をもとに紹介します。
この記事で分かること
この記事では、次の内容を紹介します。
- 私の転職活動が3年以上かかった理由
- 転職活動を一度中断した理由
- 社内異動によって転職への考え方がどう変わったか。
- ヘッドハンターとの面談で気付いたこと。
- メーカー・コンサル・商社で迷った理由
- なぜ事業承継まで検討したのか。
- 最終的に専門商社を転職先として選んだ理由
- 私が決めた転職先選びの軸
- 35歳で転職活動を続けて分かったこと
転職活動を始めた当初は「転職の軸」がなかった
前の記事でも紹介したとおり、私が転職を考え始めたきっかけの一つは、長時間労働を経験したことでした。
月の残業時間が120時間を超えた時期もあり、仕事が一段落した頃から、
「このまま一生、同じ会社で働き続けてよいのだろうか」
と自分のキャリアについて考えるようになりました。
そこで2018年秋頃から転職について調べ始め、転職エージェントへの登録や求人の確認など、実際に行動を始めました。
しかし、転職活動を進める中で一つの問題に気付きました。
「自分は転職して何を実現したいのか?」という問いに、明確に答えられなかったのです。
当時の会社に対して、給与や待遇、評価面で大きな不満があったわけではありません。
「今の会社が嫌だから辞めたい」という明確な退職理由があったわけでもありませんでした。
むしろ、
- 自分の市場価値を知りたい。
- 他の会社でも通用するのか試してみたい。
- 今とは違う仕事を経験してみたい。
- このまま同じ会社でキャリアを終えて良いのか確かめたい。
という気持ちが入り混じっていました。
今振り返ると、この時点の私は、「会社を辞めたい」・「転職したい」というより、
「自分には他にどんな選択肢があるのか知りたい」
という状態だったのだと思います。
だからこそ、すぐに応募して転職するのではなく、社内で新しい経験を積むことも含めて、自分のキャリアを考え直すことになりました。
社内で別の可能性を探した
転職について考える一方で、現在の会社でも新しい経験を積めないか模索しました。
私は入社以来、専門商社の営業として、顧客への提案、メーカーとの価格・納期交渉、技術部門との調整、納入後のアフターサービスなどに携わってきました。
台湾駐在や大手重工メーカーへの出向も経験しましたが、根幹にあるのは営業と調整の仕事です。
そのため、今までとは異なる立場から会社や事業に関わる仕事にも興味を持つようになりました。
社内で希望する新しい役割や部署を経験できるのであれば、必ずしも会社を辞める必要はありません。
当時は、
「転職だけがキャリアを変える方法ではない」
と考えていました。
今後のキャリアの可能性として、
- 新しい会社へ移る
- 現在の会社で部署異動する
- 現在の仕事を続けながら役割を広げる
という複数の選択肢がありました。
その中で私は、
- 海外との関りが多い部署への異動
- 経営に携わることに興味があったので、子会社の運営に携わる業務
という希望を明確にしつつ、社内で可能性を探ることを選び、転職活動を一旦止めました。
結果として、当時希望していた形でのキャリアチェンジは実現しませんでした。
しかし、転職前に「現在の会社でできることはないか」を考えた経験によって、感情だけで会社を辞めることは避けられたと思います。
労働組合執行委員長への就任で転職活動を中断した
転職活動を一時停止した大きな理由の一つが、会社の労働組合の執行委員長への就任です。
私は当時、社内で最年少となる労働組合執行委員長を務めました。
労働組合の仕事は、社員から意見や要望を集め、その背景を整理した上で、専務をはじめとする会社側上層部と交渉する必要があります。
それまで経験してきた営業とは大きく異なりますが、
- 関係者の意見を聞く
- 利害の違いを整理する
- 相手の事情も踏まえて提案する
- 双方が納得できる着地点を探す
という点では、専門商社の営業経験とも共通していました。
執行委員長として、決算が厳しい中でも、夏・冬のボーナス交渉では満額を勝ち取ることができました。また、10年以上進展していなかった単身赴任制度や借上社宅制度の見直しにも携わりました。
社員側の要望をそのまま会社へ伝えるだけでは、制度改定には繫がりません。
- なぜ見直しが必要なのか。
- どのような社員が困っているのか。
- 会社側にどのような影響があるのか。
などを整理し、現実的な提案に落とし込む必要がありました。
こうした経験を通じて、
- 「会社を外から見る」のではなく、「今いる会社をどう良くするか」。
- 今いる会社を辞める前に、自分がこの会社でできることがまだあるのではないか。
と考えるようになりました。
執行委員長という責任ある役割を引き受けた状態で、すぐに転職することも適切ではないと判断しました。
そのため、本格的な応募活動を一度止め、まずは任された役割を最後までやり遂げることを優先しました。
小さくても組織のトップとして組織運営を学べたのは、非常に良い経験ができました。
転職活動を止めても情報収集は続けた
本格的な応募活動を止めている期間も、転職市場についての情報収集までは止めませんでした。
転職サイトを見たり、届いたスカウトを確認したりしながら、
- 自分の経験を評価してくれる会社
- 求められる年収水準
- 興味を持てる仕事内容
- 他業界でも活かせる経験
- 自分に不足している知識や資格
などを確認していました。
すぐに応募しない状態で求人を見ることには、焦らず比較できるという利点もありました。
- 自分が興味を持つ求人には、どのような共通点があるのか。
- 反対に、年収や会社名に魅力を感じても、興味を持てない求人はどのようなものなのか。
それらを繰り返し確認することで、自分の希望条件が少しずつ明確になっていきました。
結果的に、転職まで3年以上かかった全ての期間が遠回りだったとは思っていません。
急いで転職しなかったからこそ、条件だけではなく、自分が今後どのような仕事をしたいのかを考えることができました。
再び転職活動を始めた理由
労働組合執行委員長の任期を終えた後、私は再び本格的に転職について考えるようになりました。
執行委員長として営業以外の仕事を経験し、会社全体や社員の働き方について考えたことで、自分の関心も変化していました。
転職活動を始めた当初は、
自分は他の会社でも通用するのだろうか。
という好奇心や市場価値への関心が中心でした。
しかし、転職活動を再開した頃には、
次の会社でどのような役割を担いたいのか。
これまでの経験を使って、何を実現したいのか。
を考えるようになっていました。
特に、営業担当者として一つの案件を受注するだけではなく、会社の事業や組織づくりにも関われる仕事に興味を持つようになりました。
そこで、専門商社だけに絞らず、複数のヘッドハンターと面談しながら、広く可能性を探ることにしました。
ヘッドハンターとの面談で選択肢が広がった
本格的に転職活動を再開すると、さまざまな業界の求人を紹介されました。
主な候補は次のとおりです。
- 専門商社
- 機械・電機メーカー
- コンサルティング会社
- M&A関連企業
- インフラ関連企業
私は、専門商社で働いてきたからといって、次も必ず商社に転職すると決めていたわけではありません。
むしろ、
「これまで経験していない仕事にも挑戦してみたい」
という気持ちがありました。
専門商社では、顧客の課題を聞き、その課題に合ったメーカーや製品を探し、技術・価格・納期を調整して提案します。
商材を販売する仕事ではありますが、本質的には顧客の課題を解決する仕事でもあります。
そのため、
「物を売るのではなく、課題解決そのものを仕事にするのも面白いのではないか」
と考え、課題解決そのものをサービスとして提供するコンサルティング業界にも興味を持ちました。
また、経営者と直接向き合い、企業の存続や成長を支援するM&A業界にも関心を持つようになりました。
コンサルティング業界への転職を考えた
コンサルティング業界に興味を持った理由は、専門商社での仕事との共通点を感じたからです。
専門商社では、顧客の要望をそのままメーカーへ伝えるだけでは不十分です。
- 顧客が本当に困っていることは何か。
- どのような製品やサービスを組み合わせれば解決できるのか。
- 関係者をどのように動かせば、案件を前へ進められるのか。
こうしたことを考えながら提案をまとめます。
私は、この経験をコンサルティング業界でも活かせるのではないかと考えました。
一方で、実際に求人や選考条件を確認すると、商社営業とコンサルタントでは求められる能力や仕事の進め方が異なることも分かりました。
課題解決という共通点はあっても、
- 調査・分析力
- 論理的な資料作成
- 短期間で結論を出す力
- 無形サービスを提案する力
- 経営層へ説明する力
など、より高い水準で求められる可能性があります。
「興味がある」という理由だけで簡単に転職できる業界ではないと感じ、選考に進むまでには至りませんでした。
M&A業界にも挑戦した
コンサルティング業界と並んで興味を持ったのが、M&A業界です。
少子高齢化や後継者不足によって、事業を続けたくても後継者が見つからない中小企業が増えていることを知り、企業の存続を支援する仕事に関心を持ちました。
(私の母方も事業を営んでいますが、後継者不足に直面しています)
実際に私は、日本M&Aセンターの中途採用選考にも挑戦しました。
M&A業界への転職を意識し、簿記2級を取得するなど、未経験の業界への挑戦に備えて準備も進めました。
しかし、選考結果は書類選考で不採用でした。
実は応募前、キャリアアドバイザーからは、
「これまでの経歴や保有資格などを踏まえると、最終選考まで進む可能性が高いと思います」
という趣旨の話をいただいていました。
私自身もその言葉を受け、面接へ進むことを想定して企業研究や選考対策を進めていました。
それだけに、書類選考で不採用となったことは、自分の転職活動を見直すきっかけになりました。
この経験から分かったのは、
「ヘッドハンターや転職エージェントから高く評価されたり、スカウトを受けたりしたとしても、それがそのまま企業からの評価や内定に繋がるわけではない」
ということです。
転職サービスへの登録後に届くスカウトは、自分の市場価値を知る一つの材料にはなります。
しかし、本当の意味で自分の経験が企業から評価されるかどうかは、実際に応募して選考を受けてみなければ分かりません。
私にとってこの不採用は、「スカウトが届くこと」と「企業から採用されること」は別だと実感した経験でもありました。
応募時には職務経歴書へ多くの情報を詰め込みましたが、内容が長くなり、重要な経験や強みが十分に伝わらなかった点も反省材料になりました。
また、専門商社で培った法人営業や関係者調整の経験は活かせる一方で、機械・設備という有形商材からM&Aという無形サービスへ転じる難しさも感じました。
ただし、選考に落ちたこと自体は無駄ではありませんでした。
実際に挑戦したことで、
- 興味がある仕事
- これまでの経験を活かしやすい仕事
- 採用市場で評価されやすい仕事
は必ずしも同じではないと分かりました。
未経験分野への転職には相応の覚悟が必要だと感じた
新しい分野へ挑戦すること自体は、決して悪いことではありません。
しかし、年齢が上がるほど、完全な未経験分野への転職には相応の覚悟が必要だと感じました。
特に30代以降の中途採用では、入社後に一から教えてもらうことを前提にするのではなく、これまで培ってきた経験や能力を、新しい環境でどのように活かせるのかを説明する必要があります。
未経験分野へ転職する場合には、
- 年収や役職が下がる可能性がある
- これまでの実績がそのまま評価されるとは限らない
- 新しい業界知識や仕事の進め方を一から学ぶ必要がある
- 年下の社員から仕事を教わる場面もある
- 即戦力を期待されながら、新しい知識も短期間で身につける必要がある
といったことも想定しなければなりません。
私も未経験業界の求人を確認しましたが、仕事内容には魅力を感じても、提示されるポジションや年収が希望と合わない場合がありました。
また、転職できたとしても、入社後に求められる成果を出せるかという点まで考える必要があります。
そこで私は、
「未経験の仕事か、経験のある仕事か」
という二択ではなく、
- これまでの経験の何を、次の仕事へ持っていけるのか。
- 今までの経験を土台にして、新しい経験を上乗せするのが自分には合っているのではないか。
ということを考えるようになりました。
事業承継という選択肢まで検討した
転職活動中、会社員から会社員への転職だけでなく、事業承継にも興味を持ちました。
後継者不足に悩む中小企業を引き継ぎ、自分が経営者になるという選択肢です。
労働組合執行委員長などの経験を通じて、経営や組織運営に近い仕事への関心が強くなっていました。
そこで、事業承継に関する情報を集め、公的機関にも相談しました。
相談では、後継者を探している企業と第三者承継を希望する人を繋ぐ仕組みや、事業を引き継ぐ場合の準備について確認しました。
また、日本政策金融公庫にも相談し、実際に事業を引き継ぐ場合の資金調達についても情報を集めました。
しかし、調べれば調べるほど、
会社を買い引き継ぐこと
と
会社を継続的に経営すること
は全く別だと感じました。
事業承継では、引き継ぐための資金だけを考えればよいわけではありません。
引き継いだ瞬間から、
- 売上と利益
- 資金繰り
- 従業員の生活
- 取引先との関係
- 商品やサービスの将来性
- 設備投資
- 採用と人材育成
など、経営に関する全ての責任を負います。
専門商社で営業や調整の経験は積んでいましたが、一社を経営するために必要な経験や準備は十分ではないと判断しました。
事業承継は魅力的な選択肢でしたが、興味だけで飛び込むべきものではありません。
最終的にはその道を選びませんでしたが、事業承継を具体的に調べたことで、私が転職を通じて求めているものが見えてきました。
私が求めていたのは「経営に近い仕事」だった
メーカー、コンサルティング、M&A、事業承継、専門商社。
さまざまな選択肢を検討する中で、一つの共通点が見えてきました。
私が求めていたのは、単に違う会社で働くことではありませんでした。
「より経営に近い立場で仕事をしたい」
これが、次第に自分の中で重要なテーマになっていきました。
それまでの会社でも多くの仕事を任せてもらい、大型案件や海外案件に携わる機会がありました。
台湾駐在や大手重工メーカーへの出向など、普通には得られない経験も積ませてもらいました。
一方で、会社の規模や組織構造上、自分が経営そのものに関与できる場面は限られていました。
今後は、営業として売上をつくるだけでなく、
- 新しい取引先や商材を開拓する
- 会社の事業方針に関わる
- 経営者と近い距離で働く
- 将来的に事業や組織を任される
といった仕事にも挑戦したいと考えるようになりました。
最終的に専門商社へ戻ってきた理由
さまざまな業界や働き方を検討した結果、最終的に改めて注目したのが専門商社でした。
「結局、同じ業界に転職するのか」と思われるかもしれません。
しかし、転職活動を始めた当初とは意味が違いました。
専門商社で長年働いたことで、私は次のような経験を積んでいました。
- 法人営業
- 顧客との関係構築
- メーカーとの価格・納期交渉
- 機械・プラント関連案件
- プロジェクト型営業
- 海外ビジネス
- 台湾駐在
- 大手重工メーカーへの出向
- 社内外の関係者との調整
- 労働組合執行委員長としての会社側との交渉
これらを全て捨ててゼロから始めるのではなく、これまで積み上げた経験を活かせる環境で、今までできなかった仕事に挑戦する。
その方が35歳の自分にとって、現実的で可能性のある選択だと考えるようになりました。
私にとっての転職は、これまでのキャリアをリセットすることではありませんでした。
これまで積み上げてきたものを、次の環境でどう活かし、さらに広げていくか。
それが転職先を選ぶ上での大きな基準になりました。
私が最終的に決めた4つの「転職の軸」
3年以上にわたって転職について考えた結果、最終的に私が重視したのは、次の4つの条件でした。
① これまでの経験を活かせること
全てをゼロから始めるより、35歳まで積み上げてきた専門商社での経験を、次の会社でも活かせることを重視しました。
ただし、現在と全く同じ仕事を続けるのではありません。
既存の経験だけで仕事をするのではなく、これまでの経験を土台にして、新しい顧客・商材・事業に挑戦できるかを確認しました。
経験を活かしながら、新しいことができるか。
これが一つ目の軸でした。
② 経営に近い立場で働けること
次に重視したのが、経営者との距離です。
営業担当者として与えられた目標を達成するだけでなく、会社の事業方針や新しい取り組みに関われる環境を求めました。
具体的には、
- 経営者と近い距離で仕事を進める。
- 新規事業や新しい取引先の開拓に関われる。
- 自分の提案が会社の方針に反映される。
- 将来的に事業を任される可能性がある。
といった環境です。
会社の規模や知名度だけではなく、自分がどのような役割を担えるのかを重視しました。
③ 年収を大きく下げないこと
転職は仕事内容だけで決めるものではありません。
家族との生活もあるため、年収を大幅に下げてまで転職する考えはありませんでした。
一方で、年収だけを追い求めることもしませんでした。
仮に年収が100万円上がったとしても、
- 残業時間が大幅に増える
- 休日が減る
- 通勤時間が長くなる
- 転勤や単身赴任の可能性が高くなる
- 仕事内容に興味を持てない
- 自分の経験や強みを活かせない
- 福利厚生や退職金を含めると実質的な差が小さい
のであれば、必ずしも良い転職とは言えません。
また、年収の高い会社では、その分だけ高い成果や責任を求められる可能性もあります。
重要なのは、
いくらもらえる会社かだけではなく、その年収を得るために何を求められる会社なのかまで確認すること。
だと思います。
年収・仕事内容・働き方・キャリア・生活とのバランスを含めて、総合的に判断することを三つ目の軸としました。
④ 条件に合う会社がなければ転職しないこと
最後に決めたのが、
現在の会社より良いと思える会社がなければ、転職しない。
ということです。
私は在職中に転職活動を続けていたため、急いで次の会社を決める必要はありませんでした。
現在の会社には、給与・福利厚生・周囲のサポート・長年積み上げてきた信用など、多くの良い点もありましたので、
「それらを手放してでも挑戦したいと思える会社でなければ、転職する必要はない」
という考え方に至りました。
年齢への焦りや、せっかく転職活動を始めたからという理由だけで、条件を妥協しないことを決めました。
転職活動が3年以上かかったことを後悔しているか
結論から言えば、私は後悔していません。
結果だけを見れば、
もっと早く転職しておけばよかったのではないか。
と思われるかもしれません。
しかし、その3年以上には、
- 現在の会社でやれることを考える
- 社内で別の可能性を探る
- 労働組合執行委員長を経験する
- 単身赴任制度や借上社宅制度の見直しに携わる
- メーカーへの転職を検討する
- コンサルティング業界を検討する
- M&A業界の選考に挑戦する
- 事業承継を検討する
- 複数のヘッドハンターと話す
- 自分の市場価値を確認する
という経験がありました。
その一つひとつを経験したからこそ、
「転職することが目的ではなく、自分は今後どのようなキャリアを歩みたいのか」
を考えられるようになったと思います。
もし最初に紹介された求人へ勢いで応募し、そのまま転職していたら、後から「自分が本当にやりたかったこととは違った」と感じ、後悔していたかもしれません。
転職活動は「転職するため」だけにする必要はない
転職活動を始めると、
「転職しなければ、これまでの活動が無駄になる」
と思ってしまうことがあります。
しかし、私はそうではないと思っています。
転職活動をすると、
- 自分の市場価値
- 自分の強み
- 現在の会社の良い点
- 現在の会社では実現しにくいこと
- 他社なら実現できること
- 自分が本当に大切にしている条件
が見えてきます。
その結果、
「やはり現在の会社に残ろう」
という結論になっても構わないと思います。
それも立派なキャリアの選択です。
実際にキャリアアドバイザーからも、
転職の失敗は大きな失敗で、リスクを伴うので、慎重に進めた方が良い
と言われたことがありました。
転職活動をすることと、実際に転職することは別です。
大切なのは、
「転職すること自体を目的にせず、自分のキャリアや働き方を見直す手段として活用すること」
だと思います。
まとめ
私の転職活動が3年以上かかった最大の理由は、選考がうまくいかなかったからではありません。
「転職によって何を実現したいのかが、最初は明確ではなかったから」
だと思っています。
しかし、
- 転職活動を始める
- 社内で別の可能性を探る
- 労働組合執行委員長を経験する
- 転職活動を再開する
- コンサルティングやM&A業界に挑戦する
- 事業承継まで検討する
- 自分の経験と強みを整理する
- 最終的に転職の軸を決める
という過程を経て、自分なりの答えが見えてきました。
35歳前後になると、20代の転職とは違い、それまで積み上げてきた経験があります。
だからこそ、
「何を捨てて新しいことを始めるか」だけではなく、「これまで積み上げてきたものを、次の環境でどう活かして広げていくか」
という視点も大切だと思います。
そして最終的に私は、自分が決めた4つの軸に合う会社と出会いました。
そこからヘッドハンターとのやり取り、社長との面談、条件交渉を経て、実際に退職を決断することになります。
私が転職の軸を固めた後、どのように転職先となる専門商社と出会い、社長面談 ⇒ 条件交渉 ⇒ 内定 ⇒ 退職へ進んだのかについては、次の記事で詳しく紹介します。
「35歳で専門商社から専門商社へ転職|社長面談・内定・退職までの実体験」

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