はじめに
私は機械系専門商社で15年以上働いています。
その中で2015年4月から2017年3月までの2年間、三菱重工業へ出向するという貴重な経験をさせていただきました。
それまで私は商社営業として働いていましたが、出向を通じてメーカー営業の考え方や仕事の進め方を学ぶ機会を得ました。
出向前は、
「メーカーも商社も同じような営業ではないか」
と思っていましたが、実際には大きな違いがありました。
今回は私が実際に経験したメーカーと商社の違いについてご紹介します。
結論
私が感じた最大の違いは、
商社は『人と人、会社と会社をつなぐ仕事』であり、メーカーは『製品と技術で価値を提供する仕事』である。
ということです。
どちらが優れているという話ではなく、求められる役割が異なります。
当時の出向先で担当した仕事
出向先では、
- ボイラー
- 蒸気タービン
- ガスタービン
などの発電・化学・石油プラント他向けの大型設備を取り扱っていました。
私自身は、
- 見積作成
- 原価集計
- 商務条件交渉
- 納期調整
- 長期保守契約対応
- プロジェクト補佐
などに営業部門として従事していて、主に工場内の技術・管理部門や商社とやり取りをしていました。
商社時代はメーカーから見積の提供を受ける側でしたので、見積の原価を取り纏めるという、これまでとは全く異なる視点で仕事を見ることになりました。
違い① 商社は顧客目線、メーカーは製品目線
商社時代は、
「お客様が何に困っているのか」
を最優先に考えていました。
一方メーカーでは、
「どういう仕様なら製作できるのか」
を非常に重視します。
商社時代
- 顧客要望を聞く
- メーカーに伝える
- 最適な製品を探す
メーカー時代
- 技術的に実現可能か
- 製造できるか
- 品質を維持できるか
を考える場面が多くありました。
違い② メーカーは社内調整が多い
これは驚きました。
商社は社外との調整が多いですが、
メーカーでは
- 設計部門
- 調達部門
- 見積作成部門
- 品質管理部門
- 工事部門
- 工場管理部門
など社内関係者との調整が非常に多いです。
私は出向当初、
「顧客対応より社内調整が大変だ」
と感じました。
違い③ 商社は取扱製品の自由度が高い
商社の魅力の一つです。
メーカーは基本的に自社製品しか販売できません。
一方商社は、
お客様にとって最適であれば、
- 国内メーカー
- 海外メーカー
- 新規メーカー
など様々な選択肢を提案できます。
違い④ メーカーは技術力が武器
出向中、多くの技術者と仕事をしました。
技術者の皆さんは、
- 性能
- 安全性
- 耐久性
- 利便性
を突き詰めて考えていました。
たくさんの技術者の知恵が結集されている大型プラント設備が、高い信頼性を持つ理由を実感しました。
違い⑤ 商社は情報が武器
商社時代と出向後を比較して強く感じたことです。
商社がメーカーから期待されるのは、
- 設備投資計画
- 顧客ニーズ
- 競合情報
- 業界動向
- 顧客内人事情報
などの情報収集です。
私は新人時代から顧客との関係構築を重視してきましたが、出向後は商社がそれらの情報を掴む重要性をさらに理解するようになりました。
違い⑥ 評価されるポイントが違う
メーカーでは、
- 技術力
- 原価管理
- プロジェクト管理
が重視されます。
一方商社では、
- 関係構築力
- 調整力
- 提案力
- 情報収集力
がより重要になります。
どちらも利益を追求するということには変わりありませんが、求められる能力が違うと思います。
違い⑦ どちらもコミュニケーション力が重要
違いは多くありますが、共通点もあります。
それは、
コミュニケーション能力が重要
ということです。
私は出向中、メールだけで済ませず、
できる限り技術・管理部門へ足を運び、Face to Faceで話すことを心掛けました。
その結果、技術者や工場担当者との関係も良好になり、仕事を進めやすくなりました。
出向して最も良かったこと
最も良かったのは、
メーカー側の考え方を理解できたこと
です。
出向前は、
「なぜこんなに見積や技術回答に時間がかかるのだろう」
と思う場面もありました。
しかし実際にメーカーで働くことで、
- 安全
- 品質
- コスト
- 納期
- 技術的課題の解決
を高いレベルで両立する難しさを学びました。
現在の仕事に活きていること
私は現在も商社営業として働いています。
出向経験があることで、メーカー担当者と話す際に
- 技術面
- 原価面
- 製造面
- 社内調整の大変さ
を理解した上で会話できるようになりました。
これは現在の大きな強みになっていて、商社営業としての調整力をさらに高められたと思います。
まとめ・さいごに
三菱重工業へ出向して感じたメーカーと商社の主な違いは以下の通りです。
- 商社は顧客目線、メーカーは製品目線
- メーカーは社内調整が多い
- 商社は取扱製品の自由度が高い
- メーカーは技術力が武器
- 商社は情報が武器
- 評価されるポイントが違う
- どちらもコミュニケーション力が重要
私は出向を通じて、メーカーと商社の両方の視点を学ぶことができました。
この経験は、商社営業としての能力だけでなく、人脈も広がり、人生経験としても貴重なものになりました。
もし今後メーカーや商社への就職・転職を考えている方がいれば、本記事が少しでも参考になれば幸いです。

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