はじめに
私は機械系専門商社で15年以上働いています。
2019年から2020年にかけて、通常業務と並行して労働組合の執行委員長を務めました。
しかも当時は執行委員長として最年少でした。(※2026年8月時点でも)
就任当初は、
- 歴代の委員長と比較して、本当に自分に務まるのだろうか
- 組合員の期待に応えられるだろうか
- 主任になりたての自分が経営側と交渉できるだろうか
という不安もありました。
また、組合執行部としての活動自体も、入社4年目の時、台湾駐在前の8ヶ月間だけ副支部長に就いたのみで、書記長・副委員長などの重要ポストを未経験のままいきなりの執行委員長抜擢でした。
しかし約1年間の活動を通じて、多くの学びを得ることができました。
今回は、私が最年少で労働組合執行委員長を経験して学んだことを7つご紹介します。
結論
私が労働組合執行委員長として学んだことは次の7つです。
- 相手の立場を理解する重要性
- 全員を満足させることはできない
- 交渉は事前準備が全て
- 合意形成には時間がかかる
- リーダーは聞き役に徹する場面が多い
- 会社員にも経営目線が必要
- 人との信頼関係が最も重要
それぞれ解説します。
① 相手の立場を理解する重要性
組合活動を始めて最初に学んだことです。
組合側には、
- 賃金を上げてほしい
- ボーナスをUPしてほしい
- 福利厚生を改善してほしい
- 労働環境を改善してほしい
という要望があります。
一方で会社側にも、
- 業績をあげて株主還元が必要
- 決算数字を良くするために、人件費の抑制が必要
- 将来への事業投資、社員の研修など様々な投資が必要
- 中期経営計画などの経営方針策定
など会社経営上必要なことが多数あります。
どちらか一方の立場だけで考えていては話し合いは進みません。
話を前に進めるために、相手の立場を理解しながら交渉することの重要性を学びました。
② 全員を満足させることはできない
組合員一人ひとりの考え方は異なります。
- 若手社員
- 中堅社員
- 管理職世代
- シニア社員
- 事務職
- 単身赴任者
- 家族帯同者
では求めるものも違います。
執行委員長になって初めて、
全員を100%満足させることは非常に難しい
と実感しました。
その中で、合意形成を図りながら、多くの人にとって最善と思える選択を考える力が身につきました。
③ 交渉は事前準備が全て
私は組合活動を通じて、
交渉力よりも準備力の方が重要だ
と感じました。
例えば、
- 各支部や組合員からの意見収集
- 会社の業績や決算内容の分析
- 他社の賞与支給状況の調査
- 会社側労務委員との事前協議や根回し
- 執行部内での論点整理
など、事前準備に多くの時間を費やしました。
特に2020年夏の一時金交渉では、会社が特別損失を計上し過去ワースト級の決算となっていたことから、交渉の難航が予想されていました。
そのような状況下でも、組合員の要望を整理し、執行部内で意見を集約した上で、会社側との事前協議を重ねることで、最終的には組合員が納得する満額回答を獲得することができました。
この経験を通じて、交渉の場で初めて考えるのではなく、事前準備の段階で勝負の大部分が決まることを学びました。
準備が十分であれば、交渉そのものは比較的スムーズに進みます。
④ 合意形成には時間がかかる
何かを変えるためには、多くの関係者の理解が必要です。
私が執行委員長時代には、
約10年以上懸案事項となっていた単身赴任・借上社宅制度の見直し
がありました。
制度改定を実現するには、
- 組合員の要望把握
- 執行部内での議論
- 会社側との交渉
- 制度変更による影響確認のため、人事部門との調整
など多くの関係者との調整や、プロセスを経る必要がありました
また、組合員の中でも立場によって意見が異なるため、全員が納得する案を作ることは簡単ではありませんでした。
それでも執行部メンバーをまとめながら粘り強く会社側と協議を重ねた結果、2020年2月に制度改定を実現することができました。
この経験を通じて、大きな変化ほど一朝一夕には実現せず、多くの人と対話しながら少しずつ前進させていくことの重要性を学びました。
また、合意形成には想像以上の時間と労力が必要だと学びました。
⑤ リーダーは聞き役に徹する場面が多い
執行委員長になる前は、
リーダーは人を引っ張る存在だと思っていました。
しかし実際には、
- 話を聞く
- 意見を整理する
- 方向性をまとめる
- 話が脱線しそうな時に調整する
ことの方が多かったです。
組合員や執行部メンバーの話を丁寧に聞くことが、良い組織運営につながると感じました。
⑥ 会社員にも経営目線が必要
組合活動を通じて、会社の決算資料や事業計画を見る機会が増えました。
そこで感じたのは、
「会社員も経営目線を持つべき」
ということです。
会社がどのような状況にあり、どのような課題を抱えているのかを理解することで、より建設的な提案や交渉ができるようになりました。
また、組合にも年間の活動予算があるので、予算を立ててやり繰りして、来年以降の運営のために黒字にする必要があります。
小規模で非営利の団体ではありますが、組織を運営する感覚を養うことができました。
⑦ 人との信頼関係が最も重要
最終的に一番大切だと感じたのは、ここでも「信頼関係」です。
組合活動では、
- 組合員
- 執行部メンバー
- 人事部門
- 経営陣
など多くの人と関わります。
経営陣からしても、
「今回の執行部は、会社をより良くするために動いてくれている」
と評価されることで交渉が通りやすくなったり、
組合員からも、
「執行部は組合員の意見を受け止めてくれて、経営陣に伝えてくれている」
と認識してもらうことで、より信任をいただけるようになりました。
信頼関係があるからこそ、本音で話し合いができ、難しい交渉も前に進めることができます。
これは現在の営業活動にも大いに活かされています。
労働組合経験が現在の仕事に活きていること
労働組合の執行委員長を経験したことで、
- 交渉力
- 合意形成力
- 調整力
- リーダーシップ
- 予算管理能力
が大きく向上したと感じています。
これらは現在の専門商社営業でも非常に役立っています。
顧客、メーカー、社内関係者などとの調整を行う上で、組合活動で学んだ経験は貴重な財産になっています。
まとめ・さいごに
私が最年少で労働組合執行委員長を経験して学んだことは次の7つです。
- 相手の立場を理解する重要性
- 全員を満足させることはできない
- 交渉は事前準備が全て
- 合意形成には時間がかかる
- リーダーは聞き役に徹する場面が多い
- 会社員にも経営目線が必要
- 人との信頼関係が最も重要
当時は大変なことも多くありましたが、振り返ると私のキャリアの中でも非常に学びの多い経験でした。
この記事が、組合活動やリーダー経験に興味がある方の参考になれば幸いです。

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