はじめに
専門商社で15年以上働いていると、成功体験だけでなく、数多くの失敗も経験します。
納期遅延、数量ミス、見積価格の計算ミス、輸出契約の失敗、メールの誤送信など、その内容はさまざまです。
当時は冷や汗をかきましたが、今振り返ると、その失敗があったからこそ成長できたとも感じていまし、後輩にも教えられることが多いと思います。
本記事では、私が実際に経験した失敗談を5つ紹介しながら、そこから学んだこともお伝えします。
これから専門商社を目指す方や若手営業の方の参考になれば幸いです。
専門商社で経験した失敗談5選
まずは私が15年以上のキャリアの中で経験した代表的な失敗談を紹介します。
失敗談① 納期遅延で顧客に謝罪した話
化学プラント向けに撹拌機を納入する案件を受注した時のことです。
当初は希望納期に十分間に合う予定でした。
ところが、発注していた仕入先メーカーが突然倒産してしまい、予定通りの納入が不可能になりました。
私は急遽顧客へ状況を説明し、代替案を検討することになりました。
上司にも相談し、上司の人脈を活かして別メーカーへの転注を実施しました。
結果として希望納期には間に合いませんでしたが、顧客の製造スケジュールには影響を与えずに納入することができました。
最悪の場合は遅延損害金が発生する可能性もありましたが、何とか回避することができました。
この経験から学んだこと
当時、仕入先の経営状態が良くないという噂は耳にしていました。
しかし、経験が浅く、「大丈夫だろう」と楽観的に考えてしまい、与信管理という意識が不足していました。
今なら、
・業務審査部門への相談
・与信状況の確認
・代替メーカーの事前調査
などを行います。
また、競合になることがあっても、業界内の人脈は非常に重要だと学びました。
今回のトラブルを乗り越えられたのは、上司の人脈があったからでした。
特定の仕入先(メーカー)に偏らず、幅広く付き合うというスタイルは、この経験があったからかもしれません。
失敗談② 数量ミスで冷や汗をかいた話
発電所向けに設備塗装用の塗料を数百万円分納入した時のことです。
工事終了後、顧客から、「塗料が大量に余っている」との連絡を受けました。
さらに、
・返品対応
・処分費用
の負担について協議することになりました。
私は顧客と合意した数量で発注した認識でした。
しかし、当時は議事録を残しておらず、その証拠がありませんでした。
顧客側は、
「専門商社なのだから、適切な数量を把握しているのが当然だ」
と主張し、落ち度はないとの一点張り。
最終的には部長にも同席してもらい、双方に確認不足といった落ち度があったことを確認しました。
余剰塗料を他の箇所で使用してもらうことや、処分費用の減額で合意し、解決することができました。
この経験から学んだこと
私は塗料案件の経験が少なく、数量の妥当性を十分に判断できていませんでした。
また、
・顧客との合意内容を議事録に残す
・メールで確認を取る
ことの重要性も痛感しました。
さらに、実際に施工する構内業者とも面識があったため、「本当にこの数量が必要なのか」を事前に確認しておくべきだったと思います。
失敗談③ 見積価格を間違えて利益がほぼゼロになった話
台湾向けの輸出案件を担当していた時のことです。
顧客から早期回答を求められたため、急いで見積書を作成する必要がありました。
輸送費については物流会社へ正式確認せず、
・機器サイズ
・重量
・荷姿
から私自身で概算計算を行いました。
ところが実際の輸送費は想定より大幅に高く、案件の利益はほぼゼロになってしまいました。
売上としては成立しましたが、商社としては良い案件とは言えませんでした。
この経験から学んだこと
急いでいても、物流会社への確認を省略してはいけません。
また、この経験以降は、
売上高
だけではなく、
利益額
利益率
を重視するようになりました。
商社は売上ではなく、利益で評価される仕事だと改めて実感しました。
失敗談④ インド向け輸出で契約条件を誤った話
インド向けに機器を輸出した際の失敗です。
顧客からの要望により、DDP(Delivered Duty Paid)条件で契約を締結しました。
契約時は、「少し手間は増えるが対応可能だろう」と考えていました。
しかし、実際には想像以上に大変でした。
インド向け通関では、当時約40%にも及ぶ関税負担が発生し、利益が大きく減少しました。
さらに、日本の物流会社もインド向けDDP対応に難色を示し、最終的にはインドのフォワーダーと直接やり取りすることになりました。
言語や商習慣の違いもあり、非常に苦労した案件として今でも記憶に残っています。
この経験から学んだこと
当時はDDP契約のリスクを十分理解できていませんでした。
今なら、
・FOB契約を提案する
・税金や関税、還付方法などを事前調査する
・物流会社に詳細確認し、当該国への対応になれている物流会社へ依頼する
などの対応を行います。
契約条件は受注後ではなく、受注前にリスクを確認してから決めるということを学びました。
失敗談⑤ 誤って仕入先の見積書を送付してしまった話
営業担当者なら誰もが経験したくない失敗です。
顧客へ見積書を送付する際、誤って仕入先メーカーの見積書を添付してしまったことがあります。
幸いにも、
・少額案件
・利益率も高くない案件
だったため、大きな問題にはなりませんでした。
しかし、顧客に仕入価格が知られてしまい、その後の交渉が非常にやりづらくなりました。
送信ボタンを押した瞬間に気付いた時の冷や汗は今でも忘れられません。
この経験から学んだこと
この失敗以来、
・添付ファイル確認
・メール本文確認
・宛先確認
を徹底するようになりました。
また、デスクトップやフォルダ整理を行い、必要なファイルをすぐ判別できる環境も整えました。
その結果、同じミスは二度と起きていません。
失敗は成長のきっかけになる
失敗した直後は、「もう営業を辞めたい」と思うこともありました。
しかし、今振り返ると、それぞれの失敗が自分を成長させてくれたと感じています。
与信管理、契約条件、利益管理、議事録作成、メールチェックなどは、どれも失敗があったからこそ身についたスキルです。
専門商社の仕事では、トラブルを完全になくすことはできません。
大切なのは失敗から学び、同じ失敗を繰り返さないことだと思います。
まとめ・さいごに
専門商社で15年以上働く中で、私は多くの失敗を経験してきました。
・仕入先倒産による納期遅延
・数量ミス
・輸送費計算ミス
・インド向けDDP契約
・見積書誤送付
どれも当時は大きなプレッシャーでしたが、その経験が現在の仕事にも活きていて、同じミスを後輩がしないよう、指導にも役立っています。
これから専門商社を目指す方や若手営業の方は、ぜひ私の失敗を反面教師として活用していただければ幸いです。


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